子どもの歯並びの種類と原因は?整うと起きる5つのこと
「歯並びが気になるけれど、このまま様子を見ていいのかな…」と迷う親御さまは少なくありません。結論からお伝えすると、子どもの歯並びの不正にはいくつかの代表的な種類と原因があり、放置するとむし歯や発音などのデメリットにつながることがあります。一方で、歯並びが整うとセルフケアのしやすさや食事の快適さなど、多くのメリットが期待できます。
この記事では、子どもに多い歯列不正の種類と原因を整理し、歯並びが整うと起きる変化について、当院がやさしく解説します。お子さまがどのタイプに当てはまるか、一緒に確認していきましょう。

子どもに多い歯列不正の種類と原因
ひと口に「歯並びが悪い」といっても、その状態はさまざまです。ここでは代表的な7つのタイプを見ていきましょう。
ガタガタな歯並び「叢生(そうせい)」
歯が重なっていたり、凸凹していたりする状態を「叢生」といいます。不正な歯並びの中でもっとも多く、八重歯や乱ぐい歯も叢生の一種です。日本人の約4割が叢生の状態というデータもあります。
主な原因
- 乳歯が早い時期に抜けてしまい、うまく生え変わらずスペースがなくなった
- あごに対して歯が大きい・歯に対してあごが小さいなどの骨格的な遺伝
- 舌で歯を前に押すくせ・指しゃぶりなどのくせ
デメリット
重なっている部分に汚れがたまりやすく、歯ブラシが当てにくいため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、八重歯のように歯列からはみ出て生えると粘膜に当たりやすく、口内炎の原因になることもあります。
前歯が出ている「出っ歯」
叢生の次に多いタイプです。上の前歯が大きく傾いていたり、上の歯並びが全体的に前に出ていたりする状態で、一般的に「出っ歯」と呼ばれます。
主な原因
- 指しゃぶり
- 唇をかむくせ
- 骨格的な遺伝
- あごの発達がアンバランス
- 舌で歯を押すくせ
- 口呼吸で口元の筋肉が十分に発達していない
デメリット
前歯で食べ物をかみ切りにくい、発音が聞き取りにくいといったことがあります。口が閉じにくく口呼吸になると、舌の位置が安定せず歯を押す原因になることも。口元の筋肉がゆるむと歯が前に出る力が強まり、出っ歯が進みやすくなります。
かみ合わせが深い「過蓋咬合(かがいこうごう)」
歯をかみ合わせたときに、上の歯が下の歯を大きく覆い隠す「かみ合わせが深すぎる」状態です。ディープバイトとも呼ばれ、噛むたびに上の歯ぐきに当たってしまうこともあります。
主な原因
- 乳歯をむし歯で早く失い、奥歯がきちんと生えず低くなった
- 遺伝で上あごより下あごが後ろに下がっている
- 強く食いしばるくせがある
- 下唇をかむくせがある
デメリット
下の歯が上の歯ぐきに当たり、歯ぐきを傷つける可能性があります。かみ合わせの動きが制限され、顎関節(あごの関節)に負担がかかると、顎関節症のリスクが高まることもあります。
下あごが出ている「受け口」
下の前歯が斜めに出ていたり、下あごが前に出ていたりする状態を「受け口」といいます。すべての歯並びの中でも、低年齢から矯正のご相談が多いのが特徴です。
原因は大きく「骨格の問題」と「歯の問題」に分けられます。骨格の問題は上あごが小さい・下あごが大きいといった骨の問題、歯の問題は骨に異常はなく歯の位置や傾きに問題がある場合です。
主な原因
- 下あごを突き出すくせ
- 口呼吸で舌の位置が正しくなく、歯を押している
- 上の前歯が内側に生えているなどの生え方の問題
- 遺伝で下あごが大きい(上あごが小さい)
デメリット
前歯で食べ物を噛みにくい、発音がはっきりしないといったことが起きやすくなります。上下の前歯がぶつかる場合は、前歯が強く当たって欠けやすり減りの原因になることもあります。
口が閉じない「開咬(かいこう)」
奥歯で噛んだときに前歯が噛み合っていない状態です。オープンバイトとも呼ばれ、生まれつきよりも毎日の生活習慣やくせが関係していることが多いといわれています。
主な原因
- 前歯のすき間から舌を出すくせ
- 長期間のおしゃぶり・指しゃぶり
- 口呼吸で口周りの筋肉が弱くなっている
- 爪かみ
デメリット
前歯が噛み合わず奥歯の負担が増えるため、奥歯が削れたり欠けたりすることがあります。かみ合わせのバランスが崩れて顎関節症のリスクが高まり、発音も不明瞭になりやすいです。
かみ合わせがずれている「交叉咬合(こうさこうごう)」
本来は下の歯が上の歯に隠れますが、片方だけ出ていたり、かみ合わせが横にずれていたりする状態です。
主な原因
- 食事のときに片方だけで噛むくせ
- 頬づえをつくくせ
- 舌で歯を押すくせ
- 骨格的な遺伝
デメリット
きちんとかみ合わないためあごに負担がかかり、顎関節症のリスクが高まります。しっかり噛めず食べ物をうまくかみ砕けないと、胃腸に負担がかかることもあります。
前歯にすき間が開いている「すきっ歯」
前歯にすき間が開いている状態で、正中離開(せいちゅうりかい)とも呼ばれます。乳歯のお子さまによくみられることがあります。
主な原因
- 永久歯の本数が少ない
- 歯が小さい
- 小帯(しょうたい:口の中のヒダ)が大きく、前歯のすき間に入っている
- 舌で前歯を押すくせがある
デメリット
乳歯のすきっ歯は永久歯が生えて整うことがありますが、大人のすきっ歯は汚れが挟まりやすく、むし歯や歯周病の可能性が高くなります。話すときに空気がもれて、発音が聞き取りにくくなることもあります。

歯並びが整うと起きる5つのこと
歯並びが整うことで、見た目だけでなく毎日の生活にもうれしい変化が期待できます。ここでは代表的な5つをご紹介します。なお、効果には個人差があります。
1. セルフケアがしやすい
歯並びが重なっていると汚れが残りやすく、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。歯並びが整うと歯ブラシがきちんと当たりやすくなり、毎日のセルフケアがしやすくなります。これは矯正で歯並びを整える大きなメリットです。
2. 清潔感があり笑顔に自信が持てる
口元が整っていて清潔感があることは、学校生活や仕事の場面でプラスに働くことが多いでしょう。とくに第一印象が大切な場面では、清潔感が伝わり、好印象につながることが期待できます。
3. 食事をおいしく食べられる
歯並びが悪いと特定の歯に力がかかり、お口のトラブルが起きやすくなることがあります。かみ合わせが安定していると多くの歯を残しやすく、快適に食事ができます。年齢を重ねてもおいしく食べられることは、ご家族との大切な時間にもつながります。
4. 顔のバランスが整う
かみ合わせが悪いと顔の筋肉にゆがみが出て、口角の高さが左右で違うといったことが起こる場合があります。矯正でかみ合わせが整うと筋肉のバランスが改善し、顔の印象がすっきりと見えることもあります。
5. しっかり噛めてお口の環境が整う
しっかり噛めないと、やわらかいものを選んで食べがちになります。歯並びが整うとよく噛めるようになり、消化を助けたり、唾液の量が増えて汚れを洗い流す働きが期待できたりと、お口の中の環境が整いやすくなります。

歯並びがきれいな3つの条件
それでは、「よい歯並び」とはどのような状態なのでしょうか。整った歯並びには、次の3つの条件があります。
- 上下のかみ合わせがよい
- 左右対称になっている
- 歯が重なっていない
まっすぐ姿勢を正した状態で、「前歯の中心が合っている」「上の前歯が下の歯を2〜3ミリ程度覆っている」「奥歯で均等に噛める」と、かみ合わせがよい状態です。また、鏡で見たときに歯のねじれや重なりがないことも、よい歯並びの条件になります。
マウスピース矯正など、選べる方法もあります
歯列矯正にはいくつかの方法があり、近年は透明な装置を使うマウスピース矯正を選ばれる方も増えています。どの方法が合うかは、歯並びの状態やお子さまの成長の時期によって異なります。
とくにお子さまの場合は、成長を味方につけられる時期があります。気になる歯並びの種類やご希望に合わせて、当院で一緒に方法を考えていきましょう。
まとめ
歯並びの不正にはいろいろな種類があり、それぞれに原因があります。そして多くの場合、むし歯や発音などのデメリットにつながる可能性があります。
お子さまはこれから長く歯を使っていくため、早めに向き合うことで得られるメリットも多いです。口元が整うと自信につながり、印象も変わりますし、むし歯や歯周病になりにくく、歯を長持ちさせることが期待できます。
お子さまの時期によっては、成長を味方につけた矯正方法もあります。歯並びが気になる場合は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。お一人おひとりに合わせて、一緒に考えていきます。
よくある質問
Q. 子どもの歯並びで一番多いのはどのタイプですか?
A. 歯が重なったり凸凹したりする「叢生(そうせい)」がもっとも多いといわれています。八重歯や乱ぐい歯も叢生の一種で、日本人の約4割が叢生の状態というデータもあります。あごの大きさと歯の大きさのバランスや、くせなどが関係すると考えられています。
Q. 歯並びの不正はくせでも起こりますか?
A. はい。指しゃぶり・舌で歯を押すくせ・口呼吸・下唇や爪をかむくせなどが、出っ歯や開咬などの歯並びに関係することがあります。骨格的な遺伝が関わる場合もあり、原因はお一人おひとり異なります。
Q. 子どもの矯正はいつ相談すればよいですか?
A. 気になったタイミングで一度ご相談いただくのがおすすめです。お子さまの場合は、成長を味方につけられる時期があり、時期によって選べる矯正方法が変わることもあります。当院で一緒に確認していきましょう。
Q. 歯並びが整うとどんな良いことがありますか?
A. 歯ブラシが届きやすくセルフケアがしやすくなる、しっかり噛んで食事を楽しめる、口元の印象が整うなどのメリットが期待できます。ただし効果には個人差があり、結果を保証するものではありません。